貴院は一般病床、療養病床および緩和ケア病床等を有し、長年にわたり地域医療に貢献されている。また、治験推進ネットワークモデル事業に指定され、治験・臨床研究に取り組まれ、医療の発展に寄与されている点は高く評価したい。さまざまな機能を有している反面、病院運営管理の難しさもあるが、職員を挙げて業務改善に向けてよく努力されている。電子カルテへの移行期における訪問審査であったが、紙カルテの併用部分がかなり残っているなど、情報の共有や医療情報の有効活用について必ずしも十分でない状況が見受けられた。今後の医療情報管理体制の整備に期待したい。 以下の各領域における評価所見などを参考に貴院の今後の改善活動に役立てられたい。
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1.病院組織の運営と地域における役割
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病院の理念・基本方針は明文化され、周知の努力もなされている。また、役割は明確になっており、将来計画も地域のデータに基づいて策定されているなど適切である。病院運営に病院管理者・幹部のリーダーシップが発揮され医療の質の向上に努められている。 組織の運営は、規程等の整備、計画書の作成、院内の伝達など適切である。情報の管理は個人情報の管理も含め、適切に行われている。病院の運営には各種の診療情報、会計情報の総合的活用をさらに進められたい。 法令の遵守には組織的な対応を徹底されたい。職員の教育・研修は院内・院外とも適切に行われている。医療サービスの改善活動は組織横断的に行われており、さらに病院を挙げての取り組みの歴史がみられ、高く評価できる。 地域の諸施設との連携は地域の病院との情報交換会の継続的な開催など密接に保たれている。患者の受け入れや紹介、検査の受託など実績が認められる。地域に開かれた病院として健康増進活動、ボランティアの受け入れ等、積極的である。広報活動については歴史のある広報誌が発行されているが、自院の診療実績の年報の作成なども検討されたい。
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2.患者の権利と医療の質および安全の確保
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患者の権利は明文化されており、職業倫理については行動規範として携帯用の小冊子が作成され周知に努められている。また、臨床における倫理に関しても言及されており、適切である。治験や臨床研究に関する倫理については委員会が機能しており、一連のプロセスが確立しているなど、高く評価できる。 説明と同意の方針は明確であり、手順もおおむね適切であるが、説明に際し病院側同席者と確実な署名が望まれる。 患者の安全確保に関して、組織体制は3年前から整備され確立されつつある。また、教育・研修は積極的に行われているが、さらなる充実を期待したい。今後、分析手法を用いた分析や組織横断的な改善の取り組みが望まれる。医療事故への対応は適切に行われている。 病院感染管理については、組織的な活動や職員への教育などがなされており、おおむね適切に行われている。抗菌薬の適正使用に関してはさらなる整備に努められたい。
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3.療養環境と患者サービス
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職員は身だしなみや言葉づかいもよく、接遇教育が行き届いている。病院の案内表示は文字の大きさや読みやすさに配慮されたい。また、保険外負担に関する掲示内容は見直されたい。患者・家族の相談窓口は、入院案内にも明示され担当者も明確になっており適切であるが、玄関における案内表示も明確にされたい。さらに、昨年より外来・入院の患者満足度調査の内容が充実したものに改善されているので、今後の継続した取り組みに期待したい。 患者・面会者に対する利便性の確保に努められており、プライバシー確保への配慮についてもおおむね適切な対応がなされているが、公衆電話の設置状況、設置場所などについて適切な対応を図られたい。 環境整備ややすらぎへの配慮などについては、構造上の課題もあるなかでよく工夫され、適切な対応がなされている。また、院長や幹部職員による院内巡視も実施されるなど適切である。食事の快適性については個別対応されているが、配膳時間の検討を望みたい。浴室については、各病棟に特殊浴槽が設置され機能別の対応がなされている。しかし、浴室内部のナースコールの設置場所や入浴の頻度等については見直しの余地があると思われる。
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4.医療提供の組織と運営
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診療部門では本年3月に基本方針が作成されている。診療責任者会議・各種委員会も定期的に開催され活発に活動しており適切である。臨床指標は一部設定されているが、電子カルテ化により症例データベースもより充実するものと思われたので、今後に期待したい。看護部門の組織づくりとして、病院の理念と整合した理念が作成され部署や個人への浸透が図られている。一方、評価基準や業務規程の作成などに課題が残されている。看護業務の専念化については連携委員会が最近発足され業務改善について検討されており、検体の搬送や医療機器管理等において連携と効率化に向けた取り組みが期待される。また、電動ベッドが全てに配備され、特殊浴槽も全病棟に設置されるなど、職員の労働環境にも配慮した病院としての取り組みは評価したい。看護研究やデータ分析などを含め教育の浸透をさらに推進され看護の質向上に寄与されたい。 薬剤師による注射薬の混合は行われておらず、病棟への関与も少ない状況については改善を望みたい。検査部門はおおむね適切であるが、精度管理サーベイで問題と思われる点には具体的な対策を立てられたい。病理部門は設置されていないが、病理検査必要時には外部委託により適切に実施されている。画像診断部門、輸血・血液管理部門、手術・麻酔部門、中央滅菌材料部門もおおむね適切に運営されている。救急部門では、その役割・方針について再検討の余地があると思われる。輪番制病院運営事業に参加されており、救急当番日の当直体制の整備などが課題である。また、臓器移植に対する病院の方針を明確にされたい。栄養部門におけるNSTの今後の活動に期待したい。リハビリテーション部門はスタッフも充実し、カンファレンス・研修も積極的になされ適切に運営されている。図書室機能に関しては、今後のさらなる充実を期待したい。診療録管理部門では、紙カルテから電子カルテへの移行期であり煩雑な面は理解できるが、診療録は1患者1ID番号1診療録の考え方で中央管理されたい。また、貸出し・閲覧について規程の整備や診療録のアリバイ管理の徹底など改善されたい。 訪問サービス機能は他施設との連携が図られており適切である。外来部門に関してはおおむね適切に運営されており、とりわけ待合室に隔離室が設けられ感染対策がとられているのは評価できる。
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5.医療の質と安全のためのケアプロセス
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各病棟の基本方針・目標、責任体制は明確であり、臨床における倫理的問題への対応も適切になされている。患者への説明・同意も適切に行われているが、入院診療計画および検査・手術等の患者・家族への説明書はわかりやすく表記されたい。 患者に関する情報の確実な伝達では、指示出し・指示受けについて院内で統一した安全で確実な方法を採択し、その仕組みを確立されたい。 ケアの実施では注射薬の調製・混合において薬剤師が積極的に関与し、確実・安全に実施されるよう努められたい。診断的検査、輸血、手術・麻酔、栄養管理などは適切に実施されている。また、リハビリテーションについても適切な評価のもとに計画が立てられ、実施されている。 患者の身体抑制は病院全体として原則として行わない方針のもとでおおむね適切に実践されている。療養の継続性の確保や終末期ケアはおおむね適切に行われている。 ケアプロセスにおける感染対策は、感染性廃棄物の取り扱いについて、感染の機会をできる限りなくすよう適切に対応されたい。 診療・看護の記録では、電子カルテへの移行期で紙カルテが並存しており、さらにファイルが別々に閉じられているなど情報が一元化されていない。診療情報の記載と管理が適切になされるよう取り組まれたい。病棟における薬剤の管理については、麻薬の保管・管理に見直しを求めたい。
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6.病院運営管理の合理性
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人事管理の体制は整備されており、人事・給与は一元的に管理され、必要な人材も確保されている。人事考課については、今年度から取り組まれたところであり、この考課制度が人材の育成や業務の向上に寄与する制度となることを期待する。職員の健康診断の受診率は高く、労働安全衛生におおむね適切に取り組まれているが、注射針のリキャップ禁止については徹底されたい。 財務・経理については、担当者が明確になっており、病院会計準則に基づいた会計処理が適切に行われている。予算計画は各部門からのヒアリング、予算書の作成、予算執行、月次予算の実績把握がなされるなど適切である。医事業務や病床の管理も適切に実施されている。 施設・設備管理については、施設管理課において施設管理マニュアルに沿った取り組みが行われているが、保守点検後の改善事項への顛末記載や医療ガス安全・管理委員会の構成員について見直されたい。また、臨床工学技士による医療機器の中央管理については緒についたばかりであり、今後の組織的な取り組みを期待したい。給食施設については、衛生管理面への対応、配膳時間短縮への取り組みなど適切な対応が求められる。感染性廃棄物はより適切な方法により分別されたい。病院の危機管理への対応は院内体制が整備され、訴訟等が発生した場合には誠実に対応できる体制が確保されている。
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8.療養病床に特有な病院機能
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療養病床への受け入れ方針や手順は明確になっており、受け入れの是非についても検討された記録があり適切である。高齢の患者や認知症、障害者等の意思の尊重に対しても適切に配慮されている。金銭は原則として預らない方針であるが、預り金等の金銭管理規程が策定されているので、代理管理に関する約定書の取り交わしについても明記することが望まれる。
<ケアプロセス> チームアプローチの適切性では、日常生活の自立を目指して診療計画・ケア計画が作成され、多職種と協働したケアが行われるなど適切である。また、日常生活の自立を目指したリハビリテーションも適切に実施されている。在宅復帰の支援ができる病棟では、日常着への着替えなど積極的に取り組まれたい。 嚥下機能障害・排泄機能障害などに適切に対処されているが、認知症患者とのかかわりを工夫し、コミュニケーション障害者との意思疎通にも配慮されたい。褥瘡予防など病院としての取り組みは評価できるが、高齢者の特殊性を考えた水分管理などケア実施のための根拠を検討し、二次的な障害予防に努められたい。
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